パウエルレンズの形状は、丸みを帯びたルーフをもつ円柱型のプリズムによく似ていますが、
このレンズはいわゆるレーザーラインジェネレータとして機能し、レーザビームを均一な強度の直線形状に伸張するために用いられます。
パウエルレンズは通常のシリンドリカルレンズに比べラインジェネレーターとしてのパフォーマンスが非常に優れています。
シリンドリカルレンズでは、不均一なガウシアンビームにより制限された不完全なビームラインしか生成できません。
一方、パウエルレンズの丸みを帯びたルーフはそのラインに沿ってビームを再分散することにより球面収差を生成するための複雑な2次元非球面曲線の役目を持ちます。
これはつまり生成されるビームライン両端部での強度を増加させつつ、センター部分の強度を減少させることを可能にします。
結果としてマシンビジョンアプリケーションのあらゆる場面で利用したい非常に均一なビームラインの生成を可能とします。
1994年の製造開始以来、14万個以上の出荷実績が有り、食品の品質管理から生物医学および自動車組立など様々なマーケットで使用されております。
パウエルレンズのファンアングルの幅は、ガラスの屈折率とルーフの角度に相関します。
急角度のルーフと高屈折率の材質の場合は広いファンアングルで長いビームラインを生成できます。
角度の小さいファンアングルのレンズには屈折率 n =1.5の中程度の光学ガラスが用いられています。
角度の大きいファンアングルのレンズは高い屈折率 n =1.8の光学ガラスで製造され、またより急角度のルーフにて設計されます。
直径6mmと8.9mmのレンズに対し1°、5°、10°、15°、20°、30°、45°、60°、75°、90°のファンアングルをご用意しております。また、低NREコストでカスタムファンアングルの製品も製造可能です。
入射するレーザーのビーム径は、生成されるビームラインの太さを決めます。
コリメートされた入射ビーム径は、広狭いずれかの楕円形のビーム断面を持ちます。
【狭い入射ビーム例】
【広い入射ビーム例】
横幅の狭い入射ビームの場合、ビームの長径はパウエルレンズのルーフと平行であり、浅い焦点深度にて幅の狭いビームラインを生成します。 一方、広い入射ビームの場合、ビームの長径はパウエルレンズのルーフと垂直であり、深い焦点深度にて幅の広いビームラインを生成します。
上記の描画では分りにくいですが、発散ファンがレンズ近く(=出射側)にて切り捨てられます。
各ケースの生成ビームラインを500mmの作動距離でCCDアレイ上に集光した画像(ライン幅上のビーム形状/配向の効果)を下図にて明確に示します。
【狭い入射ビーム – 細いビームライン
浅い焦点深度】
【広い入射ビーム – 太いビームライン
深い焦点深度】
【狭い入射ビームのパウエルレンズ内光路】
【広い入射ビームのパウエルレンズ内光路】
パウエルレンズの性能および物理的特性は、入射するビーム幅に依存します。
最も大きく違ってくることはマウント部分になる平らな射出面上の発散ファンの面積です。
マウントするためのホルダ等が発散光をクリッピングしないように注意しなければなりません。
パウエルレンズの性能は非球面レンズと同じように入射レーザビームの特性に影響されます。
精度の厳密なアプリケーションのためには、入射レーザービームの性能とパウエルレンズをマッチさせることによって最も均一なビームラインを生成する必要があります。
パウエルレンズの均一性は絶対的ではありません、それは使用手法に依存しているためです。
均一性の指標としましては、例えばマシンビジョンアプリケーションにおいてカメラによってパウエルレンズの投影ビームラインを評価すること、あるいはレーザー安全性評価のために発散ファン全体を検出器で掃引することなどが挙げられます。
均一性の特性の違いは、ファンアングルが増すごとに増加し、20度よりその差が顕著になります。
均一なビームラインの中央部80%はビームエネルギー全体の80%が含まれています。
低いエネルギー部を含むビームは、生成されるビームラインの両端部において強度が増大する原因となります。
ピークを最小化することによってレーザーの使用可能なパワーをより良く利用してください。
下部イラストは含まれる強度分布が大幅に異なるビームを同じ均一性の生成ビームラインに(同じレンズにて)変換した場合を示しています。
Laserline Opticsでは生成ビームラインが80%±5%の強度になるレンズをご提供します。
ビームラインの真直度と照準のずれはパウエルレンズの品質だけでなく、そのレーザモジュール内の実装精度に依存します。
パウエルレンズとレーザーとの境界面を注意深く設計し、入射光に対するルーフの垂直性を維持するように製造しなければなりません。さもなければ生成ビームラインの湾曲が誘起されてしまいます。
パウエルレンズのルーフと出口面との間のウェッジは、レーザー単独にて定められた目標位置からラインのずれ(照準誤差)を発生させます。
レンズマウントを完璧であると仮定したとしても、レンズのウェッジはルーフを傾け、生成ラインの湾曲をわずかに誘発してしまいます。
Laserline Opticsのパウエルレンズは4mrad以下のボアサイトの偏差を導入し、ライン長の80%における真直度が0.1%未満のものをご提供いたしております。
パウエルレンズの実装には出射面からの発散ビームをクリッピングしないように注意する必要があります。
パウエルレンズの複雑な光線経路のために、出射面周辺の広いファン角度部分のビームをクリッピングしてしまうと生成ビームラインの均一性が変わってしまうからです。
入射レーザビーム径はパウエルレンズのルーフ形状と出射面上のビームの面積を規定します。
光線間にはギャップがあるため、標準品の90°ファンアングルのパウエルレンズは、深い焦点深度になる横幅の広い入射レーザビーム用に提供しています。
ユーザー様の調整の問題を最小限に抑えるために、Laserline Opticsではレンズ出射面上アクティブエリアの寸法データシートだけでなく、光線とレンズの3Dモデルを提供します。
1° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
5° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
10° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
20° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
30° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
45° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
60° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
75° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs | |
90° fan angle | Lens Drawing | 3D CAD Models | Interactive PDFs |
※ 1°~75°ファンアングルのレンズにはレンズ径8.9mm or 6.0mmに対しそれぞれ入射ビーム径0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.8mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm用のレンズがございます。
90°ファンアングルのレンズにはレンズ径8.9mmに対し入射ビーム径2.5mm、3.0mm、4.0mmのものとレンズ径6.0mmに対し入射ビーム径3.0mm、4.0mm用のレンズがございます。
ご希望のファンアングル・レンズ径・入射ビーム径の3点をご選択ください。
※ 標準品については選択した仕様で型番が決まります。
例)8.9mm径のレンズでファンアングルが20度、入射ビームサイズが1.2mm
===> 型番:LOCP – 8.9R20 – 1.2
例)6.0mm径のレンズでファンアングルが75度、入射ビームサイズが3mm
===> 型番:LOCP – 6.0R75 – 3
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